今、日本のマネジメント業界には、大きな変革の波が押し寄せています。
年功序列から成果主義へと日本社会全体が大きく変化し、
チームより個人の力が評価される時代があった。
その時代の経過の中で、ミドルマネジメントの役割や
存在が希薄になってしまったのは、必然だったのかもしれない。
しかし、日本がかつて世界を席巻できた背景には、
日本独自のマネジメントシステムが、効果的かつ効率的に
働いていた面があったからではないだろうか。
日本経済が復興しつつある今、かつてのミドルマネジメントの
強さを求める声が非常に高まっている。
現場の強さは“職場の経営者”であるミドルマネージャーの肩にかかっているからだ。
2008年は、日本の産業界にとって大きな分岐点となっている。
「ゆとり第一世代」の大卒社員が入社してきた年だからである。
大きな問題は、ゆとり世代の社員との世代間ギャップ。
そして彼らを「いかに上手にマネジメントしていくか」が重要な課題である。
多彩なデータの分析から、ミドルが置かれている
現状・問題点を把握し、解決策を求める事が必要不可欠となっている。
■Message from 石田 淳
■組織を動かすための「行動科学マネジメント」
「行動科学マネジメント」とは、行動分析学をベースとする人材育成メソッドであり、
人間の行動原理に立脚したマネジメント手法である。
社員のやる気を引き出し、結果的に会社全体の
パフォーマンスを向上させる手法であり、組織のリーダーのためのスキルといえる。
■行動科学に基づいたマネジメント手法
ビジネスとは、人の行動の集積であり、人の行動が集積してこそ、
事業は順風に成長する。
企業経営においても最も重要なのは人材の育成である。
なぜなら、目標を達成するのも人、問題を解決するも人であるからだ。
そのために、人間の行動に焦点を当てたマネジメントが必要になるのである。
しかし、一般的な企業では、必ずしも行動に
焦点を当てたマネジメントが行われているとは限らない。
例えば次のように叱責することが少なくないのではないだろうか。
「なぜこんなことができないんだ」
「もっとやる気を出せ」
こうした言葉を投げ掛けても、部下の力は決して伸びない。
逆にやる気をなくし、ますますパフォーマンスを低下させてしまう。
なぜなら、注意するにしても、行動に焦点が当てられていないため、
結果的に人格を否定することにともなってしまうからだ。
だからといって、褒めて伸ばすことにも、注意しなければならない。
部下を褒めることは、たしかに大切であるが、
褒めるだけで伸びるなら、誰しも苦労はしないものである。
叱るにしろ、褒めるにしろ、行動に焦点を当てなければ、
マネジメントとしての効果はないに等しいことになる。
褒めることは、一見効果のありそうにみえながら、
実は、部下のパフォーマンスを下げてしまうことも少なくない。
冒頭でも述べたとおり、「行動科学マネジメント」とは
行動分析学をベースとする人材育成メソッドであり、
人間の行動原理に立脚した科学的なマネジメント手法である。
「科学的」とは、「いつ・どこで・誰がやっても同様の効果が得られる」
ことを意味する。
すなわち実験再現性(実験によって繰り返し同じ結果を得られること)
を備えていることがポイントである。
勘や経験に頼ることなく、常に行動の手法に目を向けて
部下を導くのが、正しい人材マネジメントだといえる。
人間が行動できない理由は、大きく分けて二つある。
第1の理由は、ハウツーを持っていないケース。
私はよく、飛行機の例え話をする。
「ジャンボジェット機を操縦しなさい」
こう言われると、たいていの人が面食らうだろう。
「なぜできないんだ」と叱られても、ジャンボの操縦は、さすがに無理だ。
仕事ができない部下は、これに似ている。
具体的なやり方を教えない限り、どんなに叱っても、
どんなに励ましても、行動させることはできない。
第2の理由は、行動を継続できないケース。
すでにハウツーは持っているが、モチベーションを維持できない、というものである。
この二つさえ解決すれば、「できない社員」はいなくなる。
まず、第1の理由として挙げた、
ハウツーを持たないケースへの対応は簡単だ。
それを与えてやれば解決する。
相手が素人であることを理解し、
ゼロから教え込むのだ。やるべき行動を細かく分析し、
実際の行動と比較してみよう。
できていないところは反復トレーニングによって習熟させる。
ピンポイントの行動を見つけ、その行動を増やすように仕向けるのである。
第2の、行動を続けられないケースでは、
本人が自発的に行動したくなるよう環境設定が必要だ。
たとえば、「強化」をいう方法がある。
望ましい行動をしたとき、ささやかなご褒美や言葉による称賛を与える。
これは、人に認められたときの嬉しさを利用して行動を促す方法だ。
評価されると分かれば、人は必ずその行動を繰り返す。
ある行動を強化された人は、その行動を自ら繰り返すようになる。
強化されない行動は、回数が減っていく。このことは、
過去の実験データによって証明されている。
仕事ができる人は、無意識のうちに、自分の行動を強化しているのだ。
例えば、目標達成に喜びを見いだすことができれば、
本人にとって、それが「強化」となるだろう。
この喜びを知らない人は、やるべき行動を続けられず、
「できない社員」のレッテルを貼られることになる。
行動科学マネジメントでは、行動の後に得られる喜びを
意図的に作り出すことで、その行動を繰り返すように仕向けるのである。
■行動には動機付け条件が必要
人が行動するとき、その行動の前には、必ずなんらかの動機がある。
人は、動機づけによって行動する生き物であり、
動機もなく行動するケースはほとんどない。
無意識のうちの行動にさえ、動機が隠れていることは多い。
例えば、電車に乗って足を組む行動。一見すると動機などなさそうだが、
「足を組んだほうが楽だから」
「両脇の人と密着して暑苦しいから」
といった理由が、足を組ませている。
逆に考えると、動機さえあれば、人間は必ず行動する。
行動できないのは、動機が存在しないか、あっても弱すぎるからだ。
いわゆる「できない社員」たちは、動機づけ条件が不足しているために、
行動できないのである。
ならば、人為的に動機を作ってやればいい。
これが行動科学マネジメントの考え方だ。
より専門的には「動機づけ条件」というが、
何らかの動機を作ることによって、
自発的な行動を促すわけである。
■行動科学マネジメントで得られるメリット
この手法を用いると、部下がみるみるうちに成長し始める。
上司の目が届かないところでも進んで働き、
自発的に目標達成に取り組み、自ら問題解決に当たるようになる。
そして、仕事が好きになり、上司が好きになり、
会社が好きになる。特別なお金は掛からず、たいした手間も必要ない。
それでも、社員一人ひとりのやる気を高め、
結果的に、会社全体のパフォーマンスを格段に向上させることができるのである。
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